ルプラ北峰 Tête Nord du Replat (3442m)

7月22日 晴れ


相耳峰のもう片方ルプラ北峰は南壁、北壁とも急峻で、山小屋からのアプローチも標高差が1210mあります。
この日はシャテルレ小屋を出発し南壁からピークハント、再び小屋に戻り、ベラルドへと帰るロングコースです。南壁だけに氷河はないため、雪渓が少し残っているもののアイゼン、ピッケルは必要ありません。



出発地点標高 シャテルレ小屋 Refuge du Châtelleret 2232m
到着地点標高 ルプラ北峰 Tête Nord du Replat 3442m
標高差 登り シャテルレ小屋〜ルプラ北峰 1210m
下り ルプラ北峰〜ラ・ベラルド 1729m
登攀難易度 4〜5 : 難易度表
所要時間 登り 6時間
下り 6時間20分
道具 ヘルメット、ロープ、ハーネス、カラビナ、ヌンチャク、カム、スリング
地図 IGN 3436 ET




今回の登攀も今日で最終日を迎えた。1日目ラトー西峰、2日目休息、3日目ルプラ南峰、そして今日だ。最終日というのはいろいろな心境が入り混じる。もう終わってしまうのかという気持ち、反対にちょっとホッとする気持ち、前の登攀の反省、最後だから有終の美を飾りたい=いい登攀にしたいと意気込む気持ち・・・。
そんなこもごもの思いを胸に、5時30分、少しだけ夜が白みだした山小屋を出発。

昨日下ったザレ場を1000m登るかと思うと気は重たいが、気力がないと登りきれないので気合を入れる。いつも思うのだが、どんなに長くても足を1歩前に出せば必ずその分山頂に近づいてるはず。1歩が2歩、2歩が3歩と、そうやってちっちゃな人間がおっきな山に向かうんだなぁ、と。

幸いにも昨日ロープとヘルメット、クライミングギア類は3100mあたりにデポしてきたのでザックは軽い。にしてもやはりガレ場は足をすくわれるし、岩場では結構体力を使う。一緒に出発したはずの6名もそれぞれのペースで登るので列はばらばらに。私の後ろには私より疲れてそうな通称イビキ君(昨晩もその90ホーンはあろうかと思われる轟音で、ドミトリー中の人からひんしゅくを買っていた根はいいヤツ)が、私の前には通称パンチラ君(2日目の登攀中に、岩でパンツの後ろちょうどお尻の真ん中部分を縦に30cmほど破いてしまい、トランクスが丸見え。ほんとはチラどころではない)が今日は赤と白のストライプのトランクスをのぞかせせながら登っている。

メンバー紹介
(この写真は初日に撮ったものですが)
左からブルドーザー君、イビキ君、掃除機君、私、パンチラ君、そして写真撮影はカモシカ君

このガレ場地帯は、標高の低い辺りでは握りこぶし位の、標高が増すにつれて岩が大きくなる。小石混じりのガレ場では急斜のため登っても足がズルッと滑り踏み応えがなく、大きな岩場では大またで階段を登るようで厄介だ。昨日から少し痛みがあった右腿がネックになって思うように踏み出せない。むむぅ、やはり体力不足かな。それでも2時間45分でデポ地に到着。

ここでギア類を回収し、すべてを装着、アンザイレンし雪渓を100mほど登り取り付点へ。北峰から延びている南の尾根の付け根、ベルグシュルントの上から登攀開始。

標高低いところはジャリジャリ
標高が増すとゴロゴロ
更に増すとゴツゴツに
尾根沿いを登っていく
はじめに小ピークがあり、そのあと少し緩やかになるが、スラブが出て来る。それを越えれば山頂までは難なく登れる
目の前にそびえる北峰手前の小ピーク

岩は乾いており、ホールドもしっかりしている。ベルグラもないので素手で登攀する。登り始めは4といったところか。小ピークを越えたあたりで昨日登った南峰が綺麗な三角形で姿を現す。今日も右足が痛むためセカンドで登る。でもやっぱり登攀はトップで登りたいなぁ。4ピッチ目だったかに少しスラブがあり慎重を要するが、山頂直下は緩やかになり、確保なしでも登れるようになる。結局計8ピッチを要した。

1ピッチ目
2ピッチ目
この乗り越えを越えれば・・・
山頂が見えてくる!
で山頂です
後ろはメイジュ
この左足はモデルポーズのためではなく、
この岩が一番高かったから
昨日登った南峰がやけに低く感じた

お昼にはまだ少し早かったが、晴天のもと、誰もいない山頂で昼食。そういえば今日はどのパーティーとも出会わなかった静かな登攀だった。いつものように男衆は無心でサンドイッチをほうばている。その横で私は素晴らしいパノラマに酔いしれる。


さていよいよ下りに入る。登りとは反対側の北壁を下りて、南峰と北峰の間にあるコルに達し(上の南峰写真の中央下部分がコル)、コルから今朝登ったルートを小屋までたどる。
山頂からはいきなり切り落ちており、しかもオーバーハング有り。ここを男衆は私を真っ先に送り出し、クライムダウンさせる。50mロープをタイトにして、落石を避けたテラスに到着。そこを男衆はラッペルしてくる。4ピッチ目に1箇所残設ハーケンがありそれを利用、1/3は空中懸垂で雪上に下りる。男衆は下りは苦手らしい。

ようやく雪上に到着
さらにラッペル
ここで落石がパンチラ君の肩に当たり、痛そうだった

あとは昨日の下り、今朝の登りと同じガレ場をひたすら下る。右腿の痛みも限界だった。でも下らないことには帰れないのでひたすら楽しいことを思い浮かべながら下りる。例えば、って?着いたらビールが飲めるぞとか、フルーツが食べれるぞとか。食べ物ばかりではないぞ、熱〜いシャワーを浴びれるとか、イビキを聞かずにゆっくり眠れるぞとか。

私の歩調がゆっくりなので男衆は先に下りてしまった。が山小屋で待っててくれるだろう。
私は上記のことを考えながらも、周りの風景を堪能し、途中カモシカに出会ったりしながらマイペースで進む。もうじき山小屋というときにイビキ君が鼻血を出して立ち止まっていた。やっぱり鼻腔に問題があるんじゃないかな。私が日本式に上を向かせて後頭部をチョップして叩いてあげたら止まった。この日本式簡易効果的療法にいたく感心していた。これで私のあだ名はナースちゃんになるにちがいない。

カモシカに遭遇、心が和む
シャテルレの山小屋
ベラルドへ続く道

山小屋でビールでも飲みたいところだが、すでに5時になっていたため、水をがぶ飲みしてベラルドに向けてすぐ下り始める。下りるに従って名峰たちが姿を隠していくのがちょっぴり寂しかった。

ベラルドへは整った登山道で、標高差も500mしかない。後で分かった肉離れの足をひきずりながら、それでもコースタイムの2/3で競歩のように歩き、到着するやいなやみんなで祝杯をあげたのでした。
私は自分の傷だらけの手と青あざだらけの足に乾杯!



 





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